東京リコーダー音楽祭 2019
天上の音、世俗の戯れ、新たな音への志向
リコーダーのすべてを凝縮した2日間

2019
8/2425
東京文化会館 小ホール

ディレクター
本村睦幸
司会
朝岡聡

主催:東京リコーダー音楽祭実行委員会 協賛:株式会社コーセー・大塚ホールディングス株式会社
協力:全音楽譜出版社・トヤマ楽器製造・鈴木楽器製作所・竹山木管楽器製作所
マネジメント:アマローネアーツ音楽事務所

幅広く多彩なリコーダーの世界へ、ようこそ

東京リコーダー音楽祭2009が開催されて10年、大きな反響とともに、ぜひ2回目をという熱いご期待をいただいて来ました。それにようやくお応えできること、何よりの喜びと感じています。10年前よりもさらに多数の演奏家の出演を得て、一層幅広いレパートリーをお楽しみいただけます。若い演奏家の方々にもご参加いただき、この10年での新鮮な変化も感じていただけるプログラムとなりました。これを機に、リコーダーの多彩な魅力を多くの皆様に味わっていただきたいと思います。

リコーダーは、誰もが一度は手にとって吹いてみたことがある身近な楽器ですが、何百年にも及ぶ長い歴史を持っています。裏側に親指の音孔を備え、それを少し隙間を開けて押さえることによって高い音を出すというのがリコーダーの仕組みですが、そのような現存最古の楽器は14世紀のものがいくつか発見されています。それ以来、主要な木管楽器の一つとして何世紀にもわたって広く用いられて来ました。18世紀初め頃までは、単に「フルート」と呼べばリコーダーのことを指していたのです。この時代には多くの作曲家によってリコーダーのための曲がたくさん書かれています。

その後「フルート」の主流は横吹きの楽器に移っていきましたが、リコーダーも愛好家の楽器として使われつづけました。そして、20世紀の古楽復興から、古い時代の音楽には不可欠な楽器となり、再びコンサート用の楽器として蘇りました。さらに、多くの現代音楽作曲家たちからも注目され始め、新たな現代奏法も様々に開拓されながら、現代音楽の楽器としても頻繁に用いられるようになりました。また、ご存知のように学校教育でも使われ、現在では最も普及している楽器はリコーダーだといっても良さそうなほどです。ポピュラー音楽やアニメ音楽などにも使われ、アマチュアの方々にとっても親しみやすい現代作品も次々に書かれています。

このように、リコーダーのレパートリーは、音楽史のとても長い期間にわたり、ジャンルも様々です。なので、一口にリコーダーの魅力といっても、その現れ方は多岐に渡り、その広い範囲の隅々まで、一人のリコーダー奏者が深く探求していくことは困難に感じられるほどです。近年は音楽史研究も進み、いろいろな演奏家がそれぞれの個性で、最新の研究成果に応じた演奏実践を積み重ねてきていますし、現代作品もスタイルが大きく異なるものが次々に生み出されています。

そのような幅広いリコーダー音楽の世界を2日間に凝縮してお届けするには、異なる個性で活動領域も少しずつ違うような多数の演奏家が結集するのが理想的です。それこそが、このような音楽祭だからこそ実現できる醍醐味です。リコーダーを軸として繰り広げられる、めくるめく多彩な音楽を心ゆくまでご堪能ください。リコーダーファンの方も、リコーダーのことをあまりご存知なかった方も、それぞれの心に残る音楽に出会えるはずです。

そして、各日の愛好家ステージにもぜひご注目を。音楽を聴く喜びと自ら演奏する喜びがすぐ近くに結びつくのが、身近な楽器リコーダーの大きな魅力なのは間違いありません。親しみやすさと奥深さが両立する様子も実感していただけるでしょう。ロビーでのCD、楽譜、楽器の展示も含め、リコーダーの全てを満喫する2日間としていただければ幸甚です。

どうぞお楽しみに。

東京リコーダー音楽祭ディレクター
リコーダー奏者
本村睦幸